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山本兼一著『利休にたずねよ』を読む [本]


利休にたずねよ


先週天童荒太と共に直木賞を受賞した山本兼一著『利休にたずねよ』を、全豪オープンの錦織君やナダルのマッチ観つつ2日で一気読み。発表直前にラジオでブックディレクターの幅弁考と言う人がこの本を推薦していて興味を持ったのですが、とても面白かったです。

お話は茶人・千利休が時の権力者の豊臣秀吉に切腹を命じられた日から、利休自身の視点から始まり、段々と時間が巻き戻って行って、一章ごとに豊臣秀吉、徳川家康、石田三成、古田織部、織田信長、長次郎等利休が関わった人々それぞれの視点から利休の美の追求の源と秘められた恋、彼の人間臭い側面が語られると言う構成です。昨夏に国立博物館で開催された『対決巨匠たちの日本美術』展を観た辺りから長次郎の焼き物が何だか面白いな〜と思った直後、京都でお茶マニアの友人と大徳寺に行ってこの小説の中にも出て来る大徳寺納豆をお茶と共に頂いたり、利休の茶の弟子でもあり「織部好み」を大流行させた武人古田織部に興味を持って漫画『へうげもの―TEA FOR UNIVERSE,TEA FOR LIFE (1服)』(これも凄く面白かったです!)読んだりしてたので、400ページ強の小説でしたがあっと言う間に面白く読みました。有名な歴史上の人物達なので当然ですが、どの登場人物もキャラ立ちまくり。利休のもてなし一つが政治の局面を左右する様になって行って、そのセンスの鋭さや如才なさを重宝していた秀吉に何時しか疎まれる様になりついには切腹に至るのですが、真剣に美を追求するって実は怖いものなのかもしれません。利休の自分の美学を全てにおいて優先させると言う凄み、マチスの絵とか、アンディー・ウォーホール、ルートヴィヒ2世なんかにもちょっと似た様な美学感じますが(笑)しかしお茶って建築、インテリア、器、書、画、着物、お花、料理、そして人間の駆け引き全てが相まった究極の道楽って感じ。

本題とは関係ないですがアンドリュー・ワイエスが先週16日に亡くなったのですね。「米画家、アンドリュー・ワイエス氏が死去 91歳」 年末にBunkamuraザ・ミュージアムで展覧会を観て魅力を再確認した矢先だったので残念です。でも今日はもうすぐオバマ新大統領の就任式、時代は動いていますね〜。

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katsura

利休といえば、野上弥生子さんの小説を読んで面白い人物だなあ、と思ったことがあります。
小説の登場人物としてはうってつけなのでしょうね。
by katsura (2009-01-21 21:08) 

kurohani

pistacciさん
nice! ありがとうございました♪

katsuraさん
野上弥生子さんの利休の小説も面白そうですね。確かに天下人との交流も深くドラマテックな利休の人生は題材としてはうってつけなのでしょうね。

nice! ありがとうございました♪



by kurohani (2009-01-23 23:35) 

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